タイで野良犬に噛まれたときの話 お題「動物に襲われた記憶」

お題「動物に襲われた記憶」

 

大学2年生のときの夏休み。

当時の彼氏と一緒にタイに旅行に行った。

(もちろん親には内緒で。大学生の分際で彼氏とお泊まりなんて100年早いわ!っていうような家だったけど、一人暮らしだったのでそのへん好き勝手やってた。)

 

アユタヤに向かう道の道中、とつぜん右膝に違和感が、、、

………やられた。

振り向いたときには、鎖に繋がれた犬が、大暴れしていた。

現地のおじさんが心配そうに見てきて、ティッシュと水をくれたのが印象的だった。

とっさの出来事にびっくりして涙が止まらなかったけど、おじさんに心配かけたくなくて、I'm OK.OK.って泣き笑いしながらその場を後にした。

 

バスに乗った後も、じわじわと血が出てきて、

血まみれのスカートで、ゾウさんに揺られた。(そのときは痛みを忘れてた)

 

その翌日、帰りの空港で彼氏がポツリ。

「ちょっとやばいかも。」

そう、その時初めて「狂犬病」の存在を知った。

聞いたことはあったけど、「海外」「犬に噛まれる」と、「狂犬病」が、

それまで自分の中では結びついてなかった。

 

帰りの飛行機は気が気じゃなかった。

よくよく調べてみたら、狂犬病は発症したら致死率100%。

噛まれた犬がまさに狂犬病を発症していた場合、暴露後1日以内にワクチン接種で発症を予防しないとヤバい。

噛まれた場所が頭に近ければ近いほど、発症が早くなる。

狂犬病発症が多い国、フィリピン、インド、タイ………絶望。

 

幸い、噛まれたのは右太もも。ただ私は背が低い。

あと鎖してたから飼い主はいるかも。ただ尋常でなく暴力的だったような…

 

とりあえず早く、病院に行かなくては。

帰ってすぐ、当時の勤務先の病院へ。問診票を書いて受付で事情を説明してたら、

看護師さんが青ざめた顔をしてたのを覚えてる。

運悪かったのが、たまたま近くに住んでた祖母が偶然受診していて、

看護師さんと祖母に事情をイチから説明する羽目に…

(当然、無断で彼氏と海外旅行してたこともバレた。

お天道様は、やっぱり見てるのね……)

 

看護師さんに狂犬病をなめるな、と怒られ、、、

半泣きになりながら、

その足で四つ橋にある暴露後接種をしてもらえるクリニックへ。

 

狂犬病を発症すると発熱するとか…

熱を測ったら37.4℃。

プギャーと発狂するわたし。とりあえずなんとか接種を受けた。

死にたくないんでとにかく何とでもしてください、って感じなので

注射自体は痛くも苦しくもなく。

ただ、3日後、7日後…って感じでスケジュール通りに計6回接種する必要があるらしく。

せっせせっせと通ったっけ。大学の2限の授業すらすっぽかす私が。(^^;)

おかげで近くにある星乃珈琲店のスフレの美味しさに目覚めた。

悪いことばっかじゃないなあ。

 

とにもかくにも、あのときやばいかもって言ってくれた当時の彼氏には感謝してる。

受診してなかったら、大学卒業するまでに死んでたかも。

実際クリニックの先生も、かなり危険ですって言ってたしな。

あれから9年ほど経つから、もう発症することはないだろうけど、

2~3年はずっとビビってた。犬も触れなくなったし。

長い人で、噛まれてから発症まで7年とかいう人もおるらしい。

 

海外旅行は楽しいけど、リスクも付きものなんだ。備えあれば憂いなしってこの件で思い知った。

特にアジアはいまだに狂犬病を発症する人が一定数いる。野良犬わんさかいるし。

デング熱とかも怖いしな。

タイに旅行に行けるのは、しばらく先になりそう…………

以上。